就活において地方と都市部の間にあるのは情報格差どころではない。実力格差である
こんにちは。
本ブログの記念すべき最初のエントリーは、10月ごろから地方の大学生に伝えたい伝えたい伝えたい伝えたいと思っていた「地方と都市部には情報格差どころか、実力格差がある」というテーマについてです。
(本エントリーは、私が某県にいて感じることに基づいて書いているので他の地方とは状況が異なる可能性があります。また、私自身のスタンスは「やりたいことがあるのであれば雇用労働以外の働き方も肯定派」というものなので、就活が正義!という主張ではありません。)
さて、まずはじめに結論なのですが、
今、地方と都市部の間には実力格差があります。しかし、そこに地方大学生の強みがあり、当事者である学生の行動次第で有利に就活を進めることができます。
今日はこの点について、次の流れで書いていきます。
この段階で言っておきますが、18卒の学生はこの時期から0から積み上げようとしてももはや手遅れです。
希望する将来を実現する上で就活を勝ち抜くことが必要であれば、休学するか、実力格差のある就活市場の中で、今まで積み重ねたものを武器に戦うしかないでしょう。
ただ、競う相手となるライバルにどのような存在がいるのかを知っておくことで、楽観的予測による失敗を避けられます。そのような形で本エントリーの内容が役立てば幸いです。
それでは説明していきます。
実力格差とは何か?
「情報格差」から「実力格差」へ
これまでの情報格差とは、
A.地方には都市部のような大規模な就活イベントがない。
B.地方大生はOB・OGが限られており、情報の取得先が少ない。
※この点については近年は誰でもOB訪問を行えるサービス・企業努力がありますが。
C.地方にいると周りの学生も動き出しが遅いのでスタート時期に差が出る。
などなどの事情があったのではと思います。(パッと思いついたもののみ列挙)
しかし、17卒として就活を行った経験から、地方と都市部の大学生の間には、インターンシップ経験や起業経験をもとに、学生間の実力格差が生じ始めている。と感じています。
これは例えば、
・プログラミングを使ったサービス開発経験(私は○○のスキルがあります。それを使って□□なサービスを開発し、△△の実績をあげました。〜〜〜)
・長期インターンによる事業立上経験(私は○○をメイン事業として行う企業にて、□□という新規事業の立上に関与し、△△という形で貢献しました。〜〜〜)
という形で、その人がどんなスキルを持っているのか、それを裏付ける実績が何か、ということが具体的にわかるということです。
就活においてたまに耳にする「○○のサークルで副代表をしていました。〜〜〜」なんていう嘘では逆立ちしても勝てないレベルのアピールではないでしょうか?
”ビジネスに直接関わる能力面を実績とともにアピールできる学生が都市部に増えている”というのがここで言う「実力格差」です。
企業はポテンシャル採用から実力採用へシフトしつつある
1-1で述べた学生側の変化のみならず、企業側にも変化があると感じました。それは、ポテンシャル重視採用から実力重視採用へとシフトしつつある。ということです。
これは説明すると、これまでの就活(ここでいうポテンシャル採用)では、企業は「学生が入社後にどう成長し会社に貢献するのか」という部分を重視して採用していたということです。
そのため、成長する確度が高いであろう高学歴な学生の獲得、学生の成長性を判断する採用手法が取られていました。
しかし今では、「即戦力として活躍できる人材を求める」企業が増えていると感じおり、ここでは、学生が持っているスキル・実績、学生の成長性が重視されると思います。
この背景には幾つかの要因があると考えているのですが、稚拙ながら私の仮説を挙げさせていただくと、
ⅰ.学生のスキルが可視化できるようになりつつある
ⅱ.ベンチャー企業の学生人気の高まり&ベンチャーが持つ「即戦力」を求める特徴
ⅲ.大手企業においても、確度の低いポテンシャルよりも確度の高いスキル・実績を優先したほうがリスクが少ない
などがあると考えています。
学生のスキルが可視化できるようになりつつあるとはどういうことなのか?
これについては、「2.なぜ実力格差が生じるのか」の中で説明したいと思います。
なぜ実力格差が生じるのか
都市部で起こっている変化
東京にいて感じたのですが、「長期インターン」や「ビジネススキルトレーニング」を行う学生が増加しつつあります。この2つの活動について別々に説明しますね。
※本エントリーでいう「長期インターン」は、1ヶ月以上 のインターンシップと定義しておきます。
まず長期インターンシップですが、
上で説明したように、企業は即戦力の学生を採用したいと考えています。あるいは、新卒採用における「ミスマッチング」を避けたいと考えています。
つまり、自社に貢献できない人材を間違って採用しないようにしたいんです。
この「ミスマッチング」を避けるために1day〜3dayインターンを実施する企業もありますが、それだけでは判断が出来ないため、「実際にもっと働いてもらおう」「その中で優秀であればうちに入ってもらえるように囲い込もう」という意図で長期インターンを募集する企業が増えつつあるんです。
各企業は少しでも優秀な学生をインターンとして集めようと施策を打ちます。
東京に有給インターンが多いのは、優秀な学生をインターンとして集めたいという企業の狙いがあると考えています。
さて、学生目線でいうと、この長期インターンシップを通して
・端的でスムーズなコミュニケーション能力醸成
・資料作成などのスキル習得
・ビジネス面からの思考力強化etc
などの経験が積めます。
これが、就活本番のGDや個人面接において如実な差を生じさせるんです。
実際、私が総合商社から内定を頂けた理由は、インターンシップで鍛えて頂いたおかげだと思っています。
次に、「ビジネススキルトレーニング」です。
これは企業が学生向けに行っているサービスですが、
ここではそのうちの1つとしてTrunk株式会社が学生向けに提供しているサービスを紹介したいと思います。
この企業は、セールス、マーケティング、エンジニア、デザイナーなどの職業セグメント別に、必要なスキルを身につけるためのトレーニングを無料で学生に提供しています。
企業との合同開催トレーニングのみならず、トーマツイノベーション出身者が教えるコンサルティングセールストレーニング、面白法人カヤックのエンジニアが教えるエンジニアトレーニング、などがあり、学生からすると非常に勉強になります。
私もインターンシップをしていた際に、土日を利用してTrunkさんのトレーニングを受講していたのですが、この実務×座学はかなりの成長を生みます。
また、2社目のインターン先の企業がTrunkさんのサービスを利用しており、学生の面接担当をさせて頂いていた経験から言うと、このサービスを活用している学生は情報感度・成長意欲・自発性が高いです。面接官という立場でありながら、競争心を強く刺激されてました。
このTrunkさんが提供するサービスでは、学生のレジュメが履歴書代わりに見えます。
このレジュメには、Trunk講師による各職業セグメントのスキル認定が表示されます。
(例えば、AさんはTrunkからエンジニアスキル認定されてます。という風に)
また、ビジネス/クリエイターという分類で個人のポートフォリオが表示されていて、
このポートフォリオには各自が作成したビジネス資料、アプリケーションサービス、Webページを添付できます。
つまり、このサービスは学生のスキル・実績を可視化するんです。
このように見える状態であなたが作成したサービス・資料を持って行ってスキル・経験をアピールする。(インターン先によっては社外秘のものもあると思うので、その点、ご注意ください。それは翻ってあなたのコンプライアンス意識の欠如を伝えてしまいます。)
これが1-2で言っていた学生のスキルの可視化です。
以上のように、長期インターン・ビジネススキルトーレニングの機会が増加し、参加する学生が増えて、学生の実務スキルが高まりつつあるというのが都市部で起こっている変化です。それを踏まえて、地方学生がどのような状況にいるのかを次に見ていきたいと思います。
地方大学生はどのように恵まれていないのか?
インターンシップの違い
まず、都市部と地方では「インターンシップ」の捉え方が違います。インターンシップといえば1〜3dayタイプを思い浮かべる人も地方では多いのではないでしょうか?私の大学ではそんな印象を受けました。それでは長期インターンシップに焦点を当ててお話していきます。
長期インターンシップの都市部と地方の違いを箇条書きにすると、
・有給/無給インターンの割合
・経験できる職種・業務内容の豊富さ
・優秀なメンターと出会える可能性
が挙げられます。
手短に1つ1つ触れていくと、
・有給/無給
地方は有給インターン求人が少ないです。私がいる某県では、R社が有給インターンを数名採用していますが、その報酬も決して十分とは言えない印象を受けました。
地元企業が大学などと提携を組んでインターンシップを行ってますが、それらは無給のもので、経験者の話を聞くと「それってすることで何が得られるの?」という業務内容のものもありました。
地元の企業様方がどのような取組をしているのか勉強不足な立場ではありますが、インターンシップが「学生の労働力を無償で搾取出来るもの」であるような印象を受けたことは否めません。
・経験できる職種・業務内容の豊富さ
都市部のほうがインターンシップの機会は多いです。企業数も段違いですし。それはつまり経験できる職種・業務内容も多いということです。(ただし、地方だからこそ経験できる事業内容も存在します。そのため、あなたが描く将来像によって地方が良いか都市部が良いかは異なります。)
私がいる某県にも人工知能関連の事業を行う企業が誘致により昨年誕生しました。地方でも探せば様々な事業を行っている企業を見つけられます。ただ、都市部の方が選択肢は多い、ということです。
・優秀なメンターと出会える可能性
選択肢が多いということは、あなたが優秀なメンターと出会える機会も都市部のほうが多いということです。インターン先の上司が優秀なメンターでないと感じても、他で働くチャンスはいっぱい転がっているわけですから。
(ただし、あなたの経験不足・視点不足で上司が優秀なメンターだと気付けない場合もあることは述べておきたいと思います。)
私は2社で長期インターンを行いましたが、両社とも素晴らしいメンターの方々と出会えました。特に1社目のMさんには基礎の部分を叩き込んで頂きましたし、その次にお世話になったTさんにもたくさんのことを教えて頂きました。インターンシップにおいて上司の存在は大きいです。その人の仕事術・考え方の影響を強く受けるわけなので。
また、インターンシップの普及率の高さから、インターン生を持った経験のある企業の数も違うでしょう。それはつまり、インターン生の扱いに関するナレッジを持っているということです。
どのようにインターン生を扱ったら良いか分からない企業と、インターン生の育成スキームが整っている企業、あなたの性格はどちらに合っていそうですか?
「普通」の違い
「普通」って何?って話なのですが、人それぞれ「基準」って持ってるものだと思います。この「基準」はあなたとあなたの周りにいる人々によって作られます。
偏差値の高い高校と低い高校を比べると想像しやすいのではないかと思います。
他生徒が授業外で6時間勉強している高校にいると3時間の勉強時間は少なく感じますが、誰も授業以外で勉強していない高校にいれば2時間勉強するだけでも多く勉強していると感じるでしょう。
つまり、周りの学生が3年生の7月から動いている環境に身を置くのと、1月2月から動き始める環境に身を置くのとでは、就活開始時期の「普通」が異なりますよね?
また、インターンシップをしている学生が周りに多いインターンが身近な環境と、インターンシップをしていない学生ばかりの環境では、あなたの取る行動も変わるのではないでしょうか?
※上記の例は「環境」が「あなた」を作りますよ。 というための例であり、周りがインターンしているからインターンしろ、周りが就活しているから就活しろというものではありません。
あえて偏った言い方でいうと、地方大学生は「成長機会となるインターンの選択肢が少ない」環境の中で、「インターンシップや起業が身近なものである」と感じることなく生活を送っており、都市部で動いている学生との経験値の差が日に日に広がっている。ということです。
「では、地方大学生はどうすれば良いのか?」
地方ならではのアドバンテージ
「地方」の不利な点ばかり挙げましたが、有利な点はないのでしょうか?
あります。使い方によってかなり強いアドバンテージになります。それが本エントリーで伝えたいことです。やっとメインパートの説明です。
地方が有利な点は、
・ 地方ならではの経験が積めるチャンスがある
・「地方大生」というだけで差別化がしやすい
ということです。
記事が長くなってしまったので、
・「地方大生」というだけで差別化がしやすい
についてのみ説明したいと思います。
・「地方大生」というだけで差別化がしやすい
これはつまり、あなたが地方の大学に通っていながら、自発的にアクションを起こしていれば他の学生との差別化が図りやすい。ということです。
私の場合は、「地方大生」でありながら、「長期の海外渡航経験」と「東京での長期インターンシップ経験」があり、「英語(TOEIC900+英会話得意)・イタリア語(旅行できるレベル)+ビギナーレベルの中国語・スペイン語スキル」と「インターンで醸成したビジネススキル」という強みを持つ、という形で差別化していました。
(自分で言いますが)これはそれなりに特殊なケースだと思ってます。だからこそ自信を持って選考に臨めました。
しかし、正直な話、これくらいの強みを持つ学生は都市部にはそれなりにいます。Trunk利用の学生と面談をするとわりと出てきます。ただ、この強みに「地方大学生」という要素が加わると、「行動力」や「自発性」といった要素がより際立ってくるんですよね。
それに都市部の大学や有名で人数の多い大学は、その大学に所属しているからといって面接官の印象には残りません。しかし、地方大学に在籍していて少し変わった経験がある学生の印象は、面接官にとって残りやすいと言えるでしょう。
また、就活生人気の高い企業になると、就活に有利であると言われる有名大学では学内での熾烈な競争が始まります。受験をくぐり抜けたいわゆる優秀層の中で限られた椅子を勝ち取らなければならないんです。その中での差別化はより一層難しいでしょう。
この点、地方大学生は差別化が図りやすいとともに、「地方大なのに」というややマイナスから始まるので、高評価につなげやすいと思っています。
ただし、この差別化において、留学経験があって英語が話せる/海外バックパッカーやってたから海外渡航が豊富という経験で他の学生と差別化が図れると思っている学生は甘いです。
そんな経験を持つ学生はたくさんいます。
そこでは、「で、あなたはそこで何をしてきて今何ができるの?」というところまで答えられる必要があります。この質問でお遊びの留学や海外渡航を行ってた人と現地で努力した人の区別がつけられるんです。
さて、こんな話をすると、○○さんだから出来たのであって自分には無理。。。と思われるかもしれません。
しかし、実は私は大学2年生の頃「留学に行く人間は根本的に違うタイプの人間で自分には無理」と考えてました。
大学2年生の自分が総合商社から内定をもらうまでの推移
さて、この「地方大学生」という立場を使って差別化を図るには何をするのが良いのでしょうか。
何でも良いと思います。あなたの人生なので好きなことをするべきです。そしてこの好きなことを見つけるためには興味のあることを1つ1つ実行していくことが大事です。
しかし、こんな雑草みたいな助言、いらないでしょう。
ここではあえて1つの選択をオススメしたいと思います。
東京留学のススメ
「東京留学」で都市部の良いとこ取りができる。
上述した話によると、東京に進学した学生は恵まれた環境にいるわけです。しかし人間というもの、自分が持っているものの価値を少しずつ忘れていく生き物ですよね。意気込んで上京したものの何も出来ずに○年間過ぎてしまったという状態が起こるのは、これが原因だと思ってます。
一方で、地方の大学生が休学をして「東京留学」に行くと、時間制限のある中でやりたいことや野望を持って向かうわけなので、中身の濃い半年or1年間を過ごせそうだとは思いませんか?
「おいおいおいおい、やりたいことや野望がないから困っているんじゃないか。」
と思いますか?
やりたいことや野望がないことを他人任せにしているから、やりたいことや野望が見つからないんです。
まずは自分が興味を持っていることに着手して、自発的に探していきましょうよ。どうせ今いる場所にいても動き出せないのなら、場所を変えて動き出せるように仕向けちゃいましょう。
私の好きな言葉の一つですが、大前研一さんはこうおっしゃってます。
人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの要素でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは、「決意を新たにする」ことだ。かつて決意して何か変わっただろうか。行動を具体的に変えない限り、決意だけでは何も変わらない。 by 大前研一
住む場所を変えたら時間配分も付き合う人も変わっちゃうんです。もし今の状況に満足していないのであればアクションを起こしてしまいましょう。やらない後悔の方が引きずります。それに「意思決定」してしまえばあとはその選択を最善のものにするために奮闘するだけです。
「でも、東京に住むには家がないし。。。」
確かに地方と比べて東京の家賃は高いです。しかし、探せば安く住める家は見つかります。と言っても月4万前後はかかりますが。私はオークハウスが運営するシェアハウスに住んでました。高円寺で家賃39000円。東京には有給インターンも多いので、生活に必要な分は普通に稼げます。
「でも、具体的にどうすれば良いか分からない。」
と思っているあなた。私も先が見えずに不安でした。
でも今はそんな悩みを解決するサービスができつつあります。
サービス公開以降、順調に相談者数・メンター数が増えていっている留学code。海外留学がメインではありますが、東京留学の相談もできます。近いうちに東京留学の相談に乗れるメンターをドーンと増やす予定です。ぜひご利用ください。
また、もし、地方から東京に武者修行に出た方がこのエントリーを読んでいたら、是非とも留学codeのメンター登録をしてあげて頂けないでしょうか?
以上、
東京という環境が持つリソースを活用して自分の力を伸ばし、「地方大学生」という肩書きを持って強力な差別化を図る。
これが私の思う地方大学生の就活戦略です。
じゃあ、家庭の事情などから休学が出来ない学生は何も出来ないの?
という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。地方にいながら出来ること、大学に通いながら出来ることはあります。この点については、また別の機会にご紹介したいと思います。(ちなみに、この内容は東京留学に行く学生にとっても知っておいた方が良い内容です。)
また、大学生の本分は学問を学ぶことです。知的好奇心を満たすために大学に行った方は、思う存分学問に打ち込んでほしいです。大学での勉強を頑張った経験を就活に活かすテクニックについてはこちらの記事をご覧ください。
「勉強を頑張った」で就活がうまくいかないのは貴方が抽象化と転化の能力に欠けるからです|ドニエフ|note
なかなかの文量になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。